以下の情報は、出願公開日時点(2007年08月16日)のものです。
0001
この出願は2002年9月6日に出願された10/241,388の同時系属出願の一部継続出願として2003年2月10日に出願された10/361,223の同時系属出願の一部継続出願である。
0002
本発明は、例えばアボベンゾンのようなジベンゾイルメタン誘導体を含む日焼け止め組成物に(a)例えばオクトクリレンのようなα-シアノ-β,β-ジフェニルアクリレート化合物と(b) ナフタレンジカルボン酸(例、ジエチルヘキシル2,6-ナフタレート)を、(a)/(b)の重量比が少なくとも0.95、できれば少なくとも約1.0で加えることにより、より安定性のあるものが作れるというものである。より具体的には、本発明はオクトクリレン及びジエチルヘキシル 2,6-ナフタレートを組み合わせることで、日焼け止め組成物中にあるその他の光活性化合物を安定化させた、特にジベンゾイルメタン誘導体を、例えばベンゾフェノン-3のような置換メトキシベンゾフェノン誘導体なしに、または0.5%未満の重量で安定化させた日焼け止め組成物に関するものである。
0003
波長が約280 nmまたは290 nm〜約320 nm(UV-B)の紫外線(光)がヒトの皮膚にとって有害で、きれいな日焼けをうながすのに弊害をもたらすヤケドを引き起こすことは良く知られている。UV-A光線(約320 nm〜約400 nm)は皮膚のきれいな日焼け(サンタン)をもたらすと共に、特に色の白いまたは敏感な皮膚にはダメージももたらし、皮膚の弾力性を損ないシワにつながる。そのためにヒトの皮膚に使用する日焼け止め組成物は、ヒトの皮膚へのダメージを防ぐために、約280 nm または290 nm〜約400 nmの全領域の太陽光線のほとんどを遮るUV-A 及びUV-Bの両方のフィルターを含んでいることが望ましい。
0004
太陽や人工的な光源からの紫外線はまた、光活性の顔料や染料といった光活性物質を含むコーティング剤に対しても、ポリマー、顔料、染料といった構成成分の構造の化学結合を破壊することにより損傷をもたらす。この光崩壊はコーティングの色褪せ、ツヤ褪せ、また物理的及び保護特性の損傷を引き起こす。光崩壊はUV光線を吸収するコーティングの一つ以上の要素を含む幾つかの段階により引き起こされる。吸収された光線は吸収分子を活性化させ、分子を高エネルギーレベルにし、それにより分子を非常に反応しやすくする。分子が平衡でいられなくなると、結合切断やフリーラジカルの生成が生じる。これらのフリーラジカルは一つ以上のカラー分子及び/またはポリマー骨格を攻撃し、それによりさらに多くのフリーラジカルを� ��成する。UV-A及びUV-Bのフィルターは顔料が使用されているコーティングを紫外線光線から護るために紫外線を吸収するためにも使用できる。
0005
米国で商業的な日焼け止め組成物として最も広く使用されているUV-Bフィルターは、例えば、一般的にオクチルケイ皮酸メトキシまたはPARSOL(登録商標) MCXと称される2-エチルヘキシルケイ皮酸パラメトキシのようなケイ皮酸パラメトキシエステル、及びサリチル酸オクチル、オキシベンゾンである。
0006
商品としての日焼け止め組成物として最も一般的に使用されている有機UV-Aフィルターはジベンゾイルメタン誘導体、特に4-(1,1-ジメチルエチル)-4'-メトキシジベンゾイルメタン(またはアボベンゾンとも呼ばれ、PARSOL(登録商標)1789の商品名で販売されている)である。UV-Aフィルターとして記述されている他のジベンゾイルメタン誘導体は米国特許4,489,057、4,387,089及び4,562,067で公表されており、それらは本文中に参照として組み込まれている。また、上述のUV-Aフィルター、特にジベンゾイルメタン誘導体は、単体で、あるいは上述の最も一般的に使用されているUV-Bフィルターと組み合わせて使用した場合、急激な光化学的劣化を受けることもよく知られている。
0007
日焼け止め組成物中の光活性化合物または光活性化合物の組み合わせの作用は、フォーミュレーション中の光活性化合物のレベルに基づいて予想することが非常に難しく、特にフォーミュレーションがアボベンゾンのような比較的急激な光崩壊を被る一つ以上の光活性化合物を含んでいる場合は困難であった。そのため、各フォーミュレーションはUV吸収度を決定するために、フォーミュレーションをUV照射に暴露した場合の時間(量)による作用についての高価な実験室でのテストを必要とした。さらに、日焼け止め組成物中の一つの光活性化合物がその組成物中にある別の光活性化合物の光崩壊率を上昇させる作用がある場合には特に難しい問題が提示されている。これは二つの光活性化合物間の二分子反応や光活性化合物を励起状態にす� ��ために必要なエネルギーの閾値の低下を含む多くの方法で起き得る。例えば、アボベンゾンがオクチルケイ皮酸メトキシと結合すると、二分子の経路がジベンゾイルメタン誘導体及びオクチルケイ皮酸メトキシ双方の急激な光崩壊をもたらす。
0008
例えばアボベンゾンといったジベンゾイルメタン誘導体のような光活性化合物を、ナフタレンジカルボン酸のジエステル及び/またはポリエステルで安定化させる方法及び組成は米国特許5,993,789と6,284,916及びGers-Barlagらによる米国特許6,491,901('901)に記載されている。一方Deflandreらによる米国特許5,576,354及びGonzenbachらによる米国特許6,033,649には、ジベンゾイルメタン誘導体を含む日焼け止め組成物の安定化に、オクトクリレンのようなα-シアノ-β,β-ジフェニルアクリレート化合物を使用することについての記載がある。そして日焼け止め組成物中のアボベンゾンのようなジベンゾイルメタン誘導体を安定させるのに、Deflandreらは、重量で最低1%のオクトクリレンを、Gonzenbachらは重量で最低0.5%のオクトクリレンを教唆している。Gers-Barlagらによ る米国特許6,491,901(901')は、オクトクリレン及びナフタレンジカルボル酸のジエステルまたはポリエステルを組み合わせた安定剤を含有し、例としてオクトクリレン対ナフタレンジカルボン酸のジエステルまたはポリエステルの重量比が0.16対0.725の範囲の比率で含有されている日焼け止め組成物について公表しており、特許としては約0.03〜約0.9の重量比で特許請求をしている。
0009
'901の特許によれば、'901の発明に基づき、オクトクリレンと一つ以上のジアルキルナフタレートの組合せはアボベンゾンの分解を防ぐのに相乗的に作用する(col. 4の21-35行目を参照のこと)。'901特許のオクトクリレンとジアルキルナフタレートの組み合せは、例としてのフォーミュレーションとして、1%〜2.9%のオクトクリレン及び4%〜8%のジアルキルナフタレートの組み合せを公表している。
0010
本文中に記載されている組成及び方法によれば、'901特許には反するが、例えばオクトクリレンのようなα-シアノ-β,β-ジフェニルアクリレートのジアルキルナフタレートに対する重量比率が少なくとも0.95、望ましくは少なくとも約1.0のものは、アボベンゾンのようなジベンゾイルメタン誘導体の光安定化に対して、重量比率が低いものに比べて驚くべき良い結果をもたらす。
0011
本文中に記載されている別の組成及び方法の実施例によれば、フォーミュレーションは重量で0%〜約10%のベンゾフェノン-3、0.05%未満のベンゾフェノン-3、より望ましくは約0.1〜約0.49%のベンゾフェノン-3を含んでいる。フォーミュレーション中にベンゾフェノン-3を含むことにより、この特許中に参照として組み込まれこの申請書に添付されている日本持続型即時黒化プロトコル(Japanese Persistent Pigment Darkening Protocol)の中で日本化粧品工業連合会(JCLA)の技術委員会により定義されたUVA防止等級PA+++の格付けとなる。フォーミュレーション中のベンゾフェノン-3は別の望ましい実施例を表しており、例の中に示されているように、オクトクリレン/ジアルキルナフタレートの重量比が少なくとも0.95、望ましくは約1.0であれば一つ以上のジベンゾイルメタン誘導体の優れた驚くべき光安定化を提供するのに必要ではない。
0012
本文中に記載されている組成及び方法の一つの局面は、ジベンゾイルメタン誘導体と、オクトクリレンのような(a)α-シアノ-β,β-ジフェニルアクリレート化合物及び(b)ナフタレンジカルボン酸のジエステルまたはポリエステルの組合せで(a)/(b)の重量比が少なくとも0.95、望ましくは少なくとも約1.0のものと、の混合物を含む組成物についてである。
0013
本文中に記載されている組成物及び方法の別の実施例の別の局面は、
アボベンゾンのようなジベンゾイルメタン誘導体と、(a)オクトクリレンのようなα-シアノ-β,β-ジフェニルアクリレート化合物及び(b)ナフタレンジカルボン酸のジエステルまたはポリエステルの組合せで(b)に対する(a)の重量比が少なくとも0.95、望ましくは少なくとも約1.0のものと、の混合物と、
(c)重量に占める割合が0〜約3.0%のベンゾフェノン-3、望ましくは重量に占める割合が約0.5%未満のベンゾフェノン-3、より望ましくは重量に占める割合が約0.1%〜約0.49%のベンゾフェノン-3と
を含む組成物についてである。
0014
本文中に記載されている組成物及び方法の別の実施例の別の局面は、アボベンゾンのようなジベンゾイルメタン誘導体と、(a)オクトクリレンのようなα-シアノ-β,β-ジフェニルアクリレート化合物及び(b)ナフタレンジカルボン酸のジエステルまたはポリエステルの組合せで(b)に対する(a)の重量比が少なくとも0.95、望ましくは少なくとも約1.0のものと、(c)ジメチルカプラミド及び/またはリンゴ酸ジエチルヘキシルのような、組成物の油相の誘電率を少なくとも約7.0、望ましくは少なくとも約8.0に上げることができる化合物との混合物を含む組成物についてである。
0015
本文中に記載されている組成物及び方法の別の局面は、
(a)アボベンゾンのようなジベンゾイルメタン誘導体と、(b)オキシベンゾンのようなα-シアノ-β,β-ジフェニルアクリレート化合物と、(c)ナフタレンジカルボン酸のジエステルまたはポリエステルで、(c)に対する(b)の重量比が少なくとも0.95、望ましくは少なくとも約1.0のものとの混合物と、
(d)重量に対する割合が0〜約3%のベンゾフェノン-3、望ましくは重量に対する割合が約0.5%未満のベンゾフェノン-3、より望ましくは重量に対する割合が約0.1%〜約0.49%のベンゾフェノン-3と、
(e)ジメチルカプラミド及び/またはリンゴ酸ジエチルヘキシルのような、組成物の油相の誘電率を少なくとも約7.0、望ましくは少なくとも約8.0に上げることができる化合物と
を含む組成物についてである。
0016
さらに、本発明のまた別の局面は、アボベンゾンのようなジベンゾイルメタン誘導体、オクトクリレンのようなα-シアノ-β,β-ジフェニルアクリレート化合物、ナフタレンジカルボン酸のジエステルまたはポリエステル、及び現在の日本持続型即時黒化プロトコル(Japanese Persistent Darkening Protocol)に基づいてテストを行った場合にUVA防止等級PA+++(少なくとも8.0のPFA(UVAの防止係数)がある)を受けることができる0.5%未満のベンゾフェノン-3の混合物を含む組成物についてである。
0017
4-(1,1-ジメチルエチル)-4'-メトキシジベンゾイルメタン(PARSOL(登録商標)1789)のようなジベンゾイルメタン誘導体UV-Aフィルターを含む日焼け止め組成物は、(a)オクトクリレンのようなα-シアノ-β,β-ジフェニルアクリレート化合物及び(b)ナフタレンジカルボン酸のジエステルまたはポリエステルで、(a)/(b)の重量比が少なくとも0.95、望ましくは約1.0のものを含むことにより光安定化される。
どのくらいのヨウ素のコストしていますか?
0018
本文中に記載されている日焼け止め組成物及び方法の一つの局面は、アボベンゾンのようなジベンゾイルメタン誘導体を含む日焼け止め組成物を、組成物の中に(a)重量で約0.5%〜約8.0%、望ましくは重量で約2%〜約7%、より望ましくは重量で約1.5%〜約5%のオクトクリレンのようなα-シアノ-β,β-ジフェニルアクリレート化合物及び(b)重量で約0.5%〜約8.0%、望ましくは重量で約2%〜約7%、より望ましくは重量で約1.5%〜5%のナフタレンジカルボン酸(DEHN)のジエステルまたはポリエステルの組合せで、安定した日焼け止め組成物を得るために(b)に対する(a)の重量比が少なくとも0.95、望ましくは少なくとも1.0であるものを含めることにより光安定化させるというものである。
0019
本文中に記載されている日焼け止め組成物及び方法の別の実施例によれば、α-シアノ-β,β-ジフェニルアクリレート化合物がその光安定効果を高めるために、高極性の溶剤または高極性の溶剤の混合物と結びつくことにより日焼け止め組成物の光安定性を高めるということである。
0020
本文中に記載されている組成物及び方法の別の実施例によれば、ジベンゾイルメタン誘導体に対するナフタレンジカルボン酸のジエステルまたはポリエステルの光安定効果は、ベンゾフェノン-3を、望ましくは重量で約0.5%未満のレベルで加えることにより高められる。
0021
光活性化合物は、例えば30MED(minimal erythema dose=最少紅斑量)の照射の後、関連する波長または波長の範囲(例えばアボベンゾンにとっては350〜360 nmといった、その波長または波長付近において光活性化合物が吸光度のピークを持つ波長)において元の吸光度の少なくとも90%を維持している場合、安定していると考えられる。同様に日焼け止め組成物も、複数の光活性化合物を含むことがあり、一般的に30MEDの照射後日焼け止め組成物が一つ以上の関連のある波長(例えば元の光活性化合物が光をもっとも吸収する波長、またはそれに近い波長)において元の吸光度の少なくとも90%を維持しているならば、安定していると考えることができる。
0022
(a)α-シアノ-β,β-ジフェニルアクリレート化合物及び(b)ナフタレンジカルボン酸のジエステルまたはポリエステルを加えることにより、日焼け止め組成物の光安定性を著しく向上させることが驚異的に発見された。この光安定性の向上達成のための何らかの特別なメカニズムに限ることなく、ナフタレンジカルボン酸のジエステルまたはポリエステルは、ジベンゾイルメタン誘導体が紫外線を吸収した結果励起状態に到達した場合、ジベンゾイルメタン誘導体の三重項エネルギーを受け入れることにより、ジベンゾイルメタンの誘導体を安定させるものと信じられている。いったんジベンゾイルメタン誘導体が励起状態になると、多くの経路により機能が低下しがちである。しかしながらジベンゾイルメタンの機能低下は、ナフタレンジカル ボン酸のジエステルまたはポリエステルを使用して、励起状態にあるジベンゾイルメタン分子中にある励起三重項状態エネルギーを和らげる(受け入れる)ことにより大幅に軽減または防止することができる。このように、機能低下の一つの経路において、ジベンゾイルメタン誘導体はその三重項状態に励起されるが、励起状態の三重項エネルギーは結合切断において解除され、それによりジベンゾイルメタン誘導体が紫外線をさらに受け入れるのを防ぐ。ナフタレンジカルボン酸のジエステルまたはポリエステルは、励起ジベンゾイルメタン誘導体を紫外線の再吸収が可能な非励起状態に戻すようにして(エネルギーの移行)励起状態にあるジベンゾイル誘導体の三重項状態(励起状態)エネルギーを受け入れることにより、ジベンゾイルメタン� ��導体を安定化させるのかも知れない。
0023
このプロセスが継続して作用するためには、ナフタレンジカルボン酸のジエステルまたはポリエステルは励起ジベンゾイルメタン誘導体から受け入れたエネルギーを移送または転換しなければならない。特別なメカニズムに限定することなく、ナフタレンジカルボン酸のジエステルまたはポリエステルが三重項状態に励起される場合、三重項励起状態エネルギーは、この分子群中では低速モードの減勢エネルギーである振動(即ち熱)を通して消散する。驚いたことに、(a)α-シアノ-β,β-ジフェニルアクリレート化合物を(b)ナフタレンジカルボン酸のジエステルまたはポリエステルと共に、(a)/(b)の重量比を少なくとも0.95、望ましくは少なくとも1.0で加えると、α-シアノ-β,β-ジフェニルアクリレート化合物にナフタレンジカルボン酸の励起ジエ� ��テルまたはポリエステルからの励起三重項状態のエネルギーを受け入れる能力が備わることが発見された。このように一つの可能なメカニズムによれば、ナフタレンジカルボン酸の励起ジエステルまたはポリエステル中の励起状態のエネルギーの消散の効率が、ナフタレンジカルボン酸の励起ジエステルまたはポリエステルのエネルギーをα-シアノ-β,β-ジフェニルアクリレート化合物に移転することにより大幅に改善されるのである。
0024
α-シアノ-β,β-ジフェニルアクリレート化合物がナフタレンジカルボン酸のジエステルまたはポリエステルの励起状態を抑えることができる何らかの特別なメカニズムに限ることなく、α-シアノ-β,β-ジフェニルアクリレート化合物は励起状態のエネルギーを受け入れ、そのエネルギーを急激な異性化という形態において動力学的に消散させると考えられている。このプロセスを下記に示す:
そこで、α-シアノ-β,β-ジフェニルアクリレート化合物(上記にAとして表示するオクトクリレン)は励起三重項状態エネルギーを受け入れ、アクリレートのα及びβの位置でジラジカル(上記にA'として表示)を形成し、それにより二重結合を一重結合に変換し、フェニル基の自由回転を可能にする。この回転は急速かつ効果的に発生し、α-シアノ-β,β-ジフェニルアクリレート化合物により受け入れられた全ての励起状態エネルギーを消散させる。溶液中(例:日焼け止め組成物)において、一つの化合物が別の化合物を安定させる能力に対する重要な条件は、二つの化合物がお互いに接触する能力である。このようにこの安定化のメカニズムによれば、ナフタレンジカルボン酸のジエステル及び/またはポリエステルと少なくとも同量のα-シアノ-β, β-ジフェニルアクリレート化合物があることが望ましく、それによりα-シアノ-β,β-ジフェニルアクリレート化合物の量がナフタレンジカルボン酸の励起ジエステルまたはポリエステルと速やかに接触するのに充分となる。
...
0025
同一出願人による米国特許6,485,713及び出願10/092,131(その公開をこの文書に参照として組み込んである)は、極性溶媒を組成物の油相に加えるなどして、日焼け止め組成物中の光活性化合物の安定性を高めるための組成及び構造について公表している。 (a)α-シアノ-β,β-ジフェニルアクリレート化合物及び(b)ナフタレンジカルボン酸のジエステルまたはポリエステルを(a)/(b)の重量比で少なくとも0.95、望ましくは少なくとも約1.0で含んでいる日焼け止め組成物の油相の極性を上げることにより、日焼け止め組成物の安定性が増すということがかなりの驚きをもって発見された。今や溶液の極性が安定性に影響を与えるということが判ったので、溶液の極性が高ければ高いほど、光活性化合物に与える安定性は大きく成り得るという予想がされるかもしれない。それとは逆に、そしてさらに驚くべきことに、溶融している急激に光安定性を損なう化合物を含んでいる溶液系の極性が高まると、光による崩壊率は最初は下がる。しかし、極性がさらに増すと再び上がるということが発見された。こ� ��ように溶液中の光崩壊を招く化合物はその溶液の全体的極性の二次関数のように悪化する。現在受け入れられている光化学作用理論は、その構造により光崩壊を招く化合物が安定するメカニズムは、光により励起された電子が同様のまたは異なった種類の近隣する分子に移転することによるものだという可能性を提供している。(例えば、N.J.TurroによるModern Molecular Photochemistry, 第9章、カリフォルニア州Menlo Park、Banjamin/Cummings Publ. Co.出版(1991)を参照)。しかしながら光化学作用理論は観察された現象については述べていない。そのような考え方に縛られることを意図するものではないが、観察された現象は、カリフォルニア工科大学のRudolph A. Marcus教授が1992年にノーベル化学賞を受賞した電子移転理論と一致するものと考えられる。
0026
溶液系の誘電率は、溶液系の極性の好適な測定方法である。例えば、誘電率は固有的及び誘発的双極子モーメントの両方の測定方法であるからである。極性のその他の測定方法には、これらに限られたものではないが、誘発的及び/または固有的(永続的)双極子モーメント(例:デバイ単位=Debye units)、Dimroth-Reichardt のET パラメーター、及びイオン化能力法がある。一般的には、C. Reichardtの"Solvents and Solvent Effects in Organic Chemistry"(有機化学における溶液及び溶液の影響)、第2版、7章:Empirical Parameters of Solvent Polarity(溶液の極性の実験パラメーター)、New York, New York、VCH出版(1988)を参照のこと。さらに、化合物または一連の化合物の極性測定方法のさらに詳しい記述については、同一出願人による米国特許出願10/092,131及び10/092,132で見ることができる。
0027
数学的には、光崩壊性は指数関数により表記することができる。このように、照射後の吸光度(即ち多量の照射への暴露) Q(a)は一般的な式(i)により表すことができる。
Q(a) = Ae-kr (i)
ここで、Aは最初(照射前)の吸光度、eは自然の対数ベース、Kは光崩壊の速度定数、そしてrは累積照射量(例:MED単位)である。累積照射量が増えると吸光度は下がるので(光崩壊)、全体的な項目-kはマイナスとなり、-kの数値が大きくなると(即ちゼロに近くなると)、光崩壊の速度定数は低くなり光崩壊率も低くなる。例えばQ(a)が長目盛の上に点在し、一方rが均等目盛の上に点在する場合、関数は-kと同じ勾配を持つ直線を形成する。
0028
さらに、光崩壊性化合物(例:アボベンゾン)を含む一組の光活性化合物にとって、その一組の光活性化合物の光崩壊の速度定数は極性の、望ましくは溶液系に溶融しているフィルターセットの誘電率(即ち比誘電率)の二次関数として表すことができる。このように、例えば、一つ以上の光活性化合物を含むフィルターセットの光崩壊の速度定数は、一般的に式(ii)で表すことができる。
ここで、x、y、zは実験に基づいて決定することができる。光崩壊-k minの理論上の最小速度定数における誘電率は式(iii)で表すことができる。
ここで、x及びyは上記のように定義される。
...
0029
上記の現象は、日焼け止め組成物は極性と光安定性の間の特別な関係なしに式化され、そして新たに発見された事実において、最適な極性というものはないという前述の知識とあいまって、本文中に記載されている組成物の少なくとも一つの局面としての基礎を成す。
0030
免疫系の仕事はどのように。
光活性化合物は、光に光電的に反応するものである。本文中に記載されている組成物中において、光活性化合物は紫外線に光電的に反応するものである。例えばUV照射に対し急激な光劣化により光電的に反応する光活性化合物は、本文中で公表されている組成から大いに恩恵を受けるが、本文中で公表されている組成からの恩恵はそのような化合物に限られてはいない。光安定性は全てのUVフィルターにとっての潜在的な問題である。なぜならそれらはUV吸収分子として慎重に選ばれるものだからである。他の用途においては、光活性化合物は顔料または染料である場合もある(例:疎水性染料)。
0031
UVフィルターは以下のカテゴリーから選ばれた(特定の例と共に)化合物を含み、それらには下記が含まれる。p-アミノ安息香酸、その塩及び誘導体(エチル、イソブチル、グリセリルエステル、p-ジメチルアミノ安息香酸)、アントラニル酸塩(o-アミノ安息香酸塩、メチル、メンチル、フェニル、ベンジル、フェニルエチル、リナリル、テルピニル、シクロヘキセニルエステル)、サリチル酸塩(オクチル、アミル、フェニル、ベンジル、メンチル(ホモサラート)、グリセリル、ジプロピレングリコールエステル)、ケイ皮酸誘導体(メンチル及びベンジルエステル、アルファ-フェニルシンナモニトリル、ブチルシンナモイルピルビン酸塩)、二価ケイ皮酸誘導体(ウンベリフェロン、メチルウンベリフェロン、メチルアセト-ウンベリフェロン)、ショウ� ��ウ誘導体(3-ベンジリデン、4-メチルベンジリデン、ポリアクリルアミドメチルベンジリデン、ベンズアルコニウムメトサルフェート、ベンジリデンショウノウスルホン酸、テレフタリデンジカンスルホン酸)、トリヒドロキシケイ皮酸誘導体(エスクレチン、メチルエスクレチン、ダフネチン、グルコシド、エスクリン及びダフニン)、炭化水素(ジフェニルブタジエン、スチルベン)、ジベンザルアセトン、ベンザルアセトフェノン、ナフトールスルホン酸(2-ナフトール-3,6-ジスルホン酸及び2-ナフトール-6,8-ジスルホン酸のナトリウム塩)、二価ナフトエ酸及びその塩、o-及びp-ヒドロキシジフェニル二硫酸塩、クマリン誘導体(7-ヒドロキシ、7-メチル、3-フェニル)、ジアゾール(2-アセチル-3-ブロモインダゾール、フェニルベンゾキサゾール、メチ ルナフトキサゾール、種々のアリールベンゾチアゾール)、キニーネ塩(重硫酸塩、硫酸塩、塩素化合物、オレインサン、タンニン酸塩)、キノリン誘導体(8-ヒドロキシキノリン塩、2-フェニルキノリン)、置換ヒドロキシ-または置換メトキシベンゾフェノン、尿酸誘導体、ヴィロウリック酸(vilouric acid)誘導体、タンニン酸及びその誘導体、ヒドロキノン、ベンゾフェノン(オキシベンゾン、スルイソベンゾン、ジオキシベンゾン、ベンゾレソシノール、2,2',4,4'-テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,2'-二価ヒドロキシ-4,4'-ジメトキシベンゾフェノン、オクタベンゾン、4-イソプロピルジベンゾイルメタン、ブチルメトキシジベンゾイルメタン、エトクリレン、4-イソプロピル-ジベンゾイルメタン)。
0032
特に有用であるのは:2-エチルヘキシル p-ケイ皮酸メトキシ、4,4'-t-ブチルメトキシジベンゾイルメタン、 2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、オクチルジメチルp-アミノ安息香酸、ジガロイル三オレイン酸塩(digalloyltrioleate)、2,2-ジヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、エチル4-[bis(ヒドロキシプロピル) ]アミノ安息香酸、2-エチルヘキシル-2-シアノ-3,3-ジフェニルアクリレート、2-サリチル酸エチルヘキシル、グリセロールp-アミノ安息香酸、3,3,5-サリチル酸トリメチルシクロヘキシル、アントラニル酸メチル、p-ジメチルアミノ安息香酸またはアミノ安息香酸、2-エチルヘキシルp-ジメチルアミノ安息香酸、2-フェニルベンゾイミダゾール-5-スルホン酸、2-(p-ジメチルアミノフェニル-5-スルホニオベンゾシアゾイック酸(sulfoniobenzoxazoic acid)、及びそれらの組み合わせである。
0033
本文中において公表されている日焼け止め組成物はジベンゾイルメタン誘導体を含む。望ましいジベンゾイルメタン誘導体には、2-メチルジベンゾイルメタン、4-メチルジベンゾイルメタン、4-イソプロピルジベンゾイルメタン、4-tert-ブチルジベンゾイルメタン、2,4-ジメチルジベンゾイルメタン、2,5-ジメチルジベンゾイルメタン、4,4'-ジイソプロピルベンゾイルメタン、4,4'-ジメトキシジベンゾイルメタン、4-tert-ブチル-4'-メトキシジベンゾイルメタン、2-メチル-5-イソプロピル-4'-メトキシジベンゾイルメタン、2-メチル-5-tert-ブチル-4'-メトキシジベンゾイルメタン、2,4-ジメチル-4'-メトキシジベンゾイルメタン、2,6-ジメチル-4-tert-ブチル-4'-メトキシジベンゾイルメタン及びそれらの組み合わせがある。本文中において公表されてい る組成物は、ジベンゾイルメタン誘導体を、組成物の合計重量に対し、重量で約0.1%〜約25%の範囲で含んでいることが望ましい。
0034
日焼け止め組成物の全ての実施例において、追加の光活性化合物を組成に付け加えることができる。追加の光活性化合物はあらゆるUV-Aフィルター、UV-Bフィルター、及びそれらの組み合わせから選ぶことができる。ヒトの皮膚に使用する化粧品として受け入れられる日焼け止め実施例においては、光活性化合物は承認された(もし規制があるとすれば)化粧品としての条件を満たしているUV-Aフィルター、UV-Bフィルター、及びそれらの組み合わせから選ばれることが望ましい。
0035
例えば、米国で販売されている製品については、化粧品としての条件を満たしている光活性化合物及び濃度(化粧品用日焼け止め組成物の総重量に対するパーセンテージとして報告されている)として望ましいものに、アミノ安息香酸(パラアミノ安息香酸、PABAとも呼ばれている。15%以下)、アボベンゾン(ブチルメトキシジベンゾイルメタンとも呼ばれている。3%以下)、シノキセート(cinoxate)(2-エトキシエチルp-ケイ皮酸メトキシとも呼ばれている。3%以下)、ジオキシベンゾン(ベンゾフェノン-8とも呼ばれている。3%以下)、ホモサラート(15%以下)、アントラニル酸メンチル(メンチル 2-アミノ安息香酸とも呼ばれている。5%以下)、オクトクリレン(2-エチルヘキシル-2-シアノ-3,3 ジフェニルアクリレートとも呼ばれている。10%以下)、オクチルケイ皮酸メトキシ (7.5%以下)、サリチル酸オクチル(サリチル酸2-エチルヘキシルとも呼ばれている。5%以下)、オキシベンゾン(ベンゾフェノン-3とも呼ばれている。6%以下)、パディメートO(オクチルジメチルPABAとも呼ばれている。8%以下)、フェニルベンズイミダゾールスルホン酸(水溶性。4%以下)、スルイソベンゾン(ベンゾフェノン-4とも呼ばれている。10%以下)、二酸化チタン(2.5%以下)、トロラミンサリチル酸(サリチル酸トリエタノールアミンとも呼ばれている。12%以下)、及び酸化亜鉛(25%以下)がある。
0036
その他の化粧品としての条件を満たしている望ましい光活性化合物及び濃度(化粧品用日焼け止め組成物の総重量に対するパーセンテージ)には、ジエタノールアミンケイ皮酸メトキシ(10%以下)、エチル-(ビス(ヒドロキシプロピル))アミノ安息香酸(5%以下)、グリセリルアミノ安息香酸(3%以下)、4-イソプロピルジベンゾイルメタン(5%以下)、4-メチルベンジリデンショウノウ(6%以下)、テレフタリリデンジカンフルスルホン酸(10%以下)、スルイソベンゾン(ベンゾフェノン-4とも呼ばれている。10%以下)が含まれる。
0037
ヨーロッパユニオン(EU)で販売されている製品として、化粧品用の条件を満たしている望ましい光活性化合物及び濃度(化粧品用日焼け止め組成物の総重量に対するパーセンテージとして報告されている)には以下のものがある。PABA(5%以下)、ショウノウベンズアルコニウムメトサルフェート(6%以下)、ホモサラート(10%以下)、ベンゾフェノン-3(10%以下)、スルホン酸フェニルベンズイミダゾール(8%以下、酸として表示されている)、テレフタリデンジカンファースルホン酸(10%以下、酸として表示されている)、ブチルメトキシジベンゾイルメタン(5%以下)、ベンジリデンショウノウスルホン酸 (6%以下、酸として表示されている)、オクトクリレン(10%以下、酸として表記されている)、ポリアクリルアミドメチルベンジリデンショウノウ(6%以下)、エチルヘキシルケイ皮酸メトキシ(10%以下)、PEG-25 PABA(10%以下)、イソアミルp-ケイ皮酸メトキシ(10%以下)、エチルヘキシルトリアゾン(5%以下)、ドロメトリゾールトリエルオキサン(trielloxane)(15%以下)、ジエチルヘキシルブタミドトリアゾン(10%以下)、4-メチルベンジリデンショウノウ(4%以下)、3-ベンジリデンショウノウ(2%以下)、サリチル酸エチルヘキシル(5%以下)、エチルヘキシルジメチルPABA(8%以下)、ベンゾフェノン-4(5%、酸として表示されている)、メチレンビスベンズトリアゾリルテトラメチルブチルフェノール(10%以下)、二ナトリウムフェニルジベンズイミダゾールテトラスルホン酸(10%以下、酸として表示されている)、ビス-エチルヘキシルオキシフェノールメタオキシフェノールトリアジン(10%以下)、メチレンビスベンゾトリアゾリルテトラメチルブチルフェノール(10%以下、TINOSORB Mとも呼ばれる)、ビスエチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン(10%以下、TINOSORB Sとも呼ばれる)。
0038
上記の全てのUVフィルターは商品として入手できる。例えば、商品として入手できる適切な有機UVフィルターの商標名及び供給業者は下記の表1で確認できる。
(表1)
...
0039
本文中において使用されているように、"アルキル"という語には、表示された番号の炭素原子を含む直鎖及び分岐の炭化水素族を含み、典型的なものとしてメチル、エチル、プロピル、ブチル基がある。また"アルキル"は、C4-C16二環構造または多環構造の炭化水素族などの"架橋アルキル"をも含む。例えば、ノルボルニル、アダマンチル、ビシクロ[2.2.2]オクチル、ビシクロ[2.2.1]ヘプチル、ビシクロ[3.2.1]オクチル、またはデカヒドロナフチルがある。"シクロアルキル"という語は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロヘキシル、シクロペンチルといった環式の炭化水素族であると定義されている。
0040
本文中で使用されているように、"アルケニル"という語は、炭素-炭素二重結合を含んでいない限り"アルキル"と全く同じ意味であると定義されている。"シクロアルケニル"という語は、炭素-炭素二重結合を含んでいるものでない限り"シクロアルキル"と全く同じものである。例:シクロプロピル、シクロブチル、シクロヘキシル、シクロペンチル。
0041
本文中で使用されているように、"アリール"という語はこの中においては、単独でも組み合わせでも、単環または多環の芳香族基として定義されており、望ましくは例えばフェニルやナフチルといった単環または二環の芳香族基であると定義されている。
0042
"人間の体内でどのように多くの骨がありますか?
本文中において公表されている日焼け止め組成物は、一つ以上のUV-A光活性化合物及び一つ以上のUV-B光活性化合物を含む種々な光活性化合物を含んでいることがある。日焼け止め組成物は、以下のp-アミノベンゾール酸及び塩及びその誘導体から成る群から選ばれた光活性化合物を含んでいることが望ましい。即ち、アントラニル酸塩及びその誘導体、ジベンゾイルメタン及びその誘導体、サリチル酸塩及びその誘導体、ケイ皮酸及びその誘導体、ジヒドロキシケイ皮酸及びその誘導体、ショウノウ及びショウノウ塩及びその誘導体、トリヒドロキシケイ皮酸及びその誘導体、ジベンザルアセトンナフトールスルホン酸及び塩及びその誘導体、ベンザルアセトフェノンナフトールスルホン酸及び塩及びその誘導体、ジヒドロキシナフトエ酸及 びその塩、o-ヒドロキシジフェニル二硫酸塩及び塩及びその誘導体、p-ヒドロキシジフェニル二硫酸及び塩及びその誘導体、クマリン及びその誘導体、ジアゾール誘導体、キニーネ誘導体及びその塩、キノリン誘導体、置換ヒドロキシベンゾフェノン誘導体、置換メトキシベンゾフェノン誘導体、尿酸誘導体、ヴィロウリック酸(vilouric acid)誘導体、タンニン酸及びその誘導体、ヒドロキノン、ベンゾフェノン誘導体、1,3,5-トリアジン誘導体、フェニルジベンズイミダゾルテトラスルホン酸及び塩及びその誘導体、テレフタリリデンジカンファースルホン酸及び塩及びその誘導体、メチレンビス-ベンゾトリアゾリルテトラメチルブチルフェノール及び塩及びその誘導体、ビス-エチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン及び塩及びその誘導体、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイルヘキシル安息香酸及び塩及びその誘導体、及びそれらの組み合わせ。
0043
日焼け止め組成物中の光活性化合物の望ましい組み合わせには、UV-A 及びUV-B光活性化合物が含まれる。しかしながら、2-エチルヘキシル-p-ケイ皮酸メトキシがジベンゾイルメタン誘導体と一緒の混合物に含まれると、ジベンゾイルメタン誘導体は特に不安定となる。何か特別なメカニズムに限らず、ケイ皮酸エステルは、励起状態のジベンゾイルメタン誘導体と二分子間経路において反応し、それがジベンゾイルメタン誘導体及びケイ皮酸エステルの双方に紫外線吸収をできなくさせると考えられている。
0044
(a)α-シアノ-β,β-ジフェニルアクリレート化合物及び(b)ナフタレンジカルボン酸のジエステルまたはポリエステルの組み合わせで(a)/(b)の重量比が少なくとも0.95、望ましくは少なくとも約1.0のものは、2-エチルヘキシル-p-ケイ皮酸メトキシ及びジベンゾイルメタン誘導体を含む日焼け止め組成物の安定性を増すということがかなりの驚きを持って発見された。このように、日焼け止め組成物の一つの実施例は、光活性化合物2-エチルヘキシル-p-ケイ皮酸メトキシ、ジベンゾイルメタン誘導体、及び(a)(b)を前述の定義の重量比で組み合わせた光活性化合物を含んだものである。
0045
かなり驚くべきことに、置換メトキシベンゾフェノン誘導体を、ジベンゾイルメタン誘導体及びナフタレンジカルボン酸のジエステルまたはポリエステルを含む日焼け止め組成物に加えると、組成物中に存在するジベンゾイルメタン誘導体の安定性が増すという結果を得た。置換メトキシベンゾフェノン誘導体は日焼け止め組成物中で二つの目的を持ち、両者が光活性化合物として作用し、日焼け止め組成物中に存在する一つ以上の光活性化合物の光安定性を増加させる(光崩壊の速度定数を低下させる)。何らかの特定のメカニズムに限ることなく、置換メトキシベンゾフェノン誘導体はナフタレンジカルボン酸のジエステルまたはポリエステルの一重項励起状態を緩和し(引き受け)、それにより励起状態のジエステルまたはポリエステルが 三重項励起状態に到達するのを防ぐ。本文中において公表されている日焼け止め組成物は、ベンゾフェノン-3のような置換メトキシベンゾフェノン誘導体を含んでいることが望ましい。置換メトキシベンゾフェノン誘導体は、日焼け止め組成物の総重量の0.5%以下であることが望ましい。
0046
本文中における日焼け止め組成物の一つの実施例は、ジベンゾイルメタン誘導体の混合物を含んでおり、(a)/(b)の重量比が少なくとも0.95、望ましくは少なくとも約1.0であり、(a)はα-シアノ-β,β-ジフェニルアクリレート化合物で、(b)はナフタレンジカルボン酸のジエステルまたはポリエステルで、化学式(I)、化学式(II)及びそれらの組合せから成る群から選ばれたものである。
...
0047
これらの式においてR1及びR2は同じであったり異なったりするが、C1- C22のアルキル基、HO-R3-OHの構造式を持つジオール及びHO-R4-(-O-R3-)n-OHの構造式を持つポリグリコールから成る群から選んだものである。ここで、各R3及びR4は同じであったり異なったりするが、C1-C6の直鎖または分鎖のアルキル基から選んだものである。そしてm及びnはそれぞれ1〜100の範囲内にあり、pは0〜100の範囲にある。実施例においてはどのようなα-シアノ-β,β-ジフェニルアクリレート化合物を使用しても良いが、α-シアノ-β,β-ジフェニルアクリレート化合物は2-エチルヘキシル-2-シアノ-3,3-ジフェニルアクリレート(オクトクリレンとしても知られている)が望ましい。
0048
特に有用なナフタレンジカルボン酸のジエステル及びポリエステルの調合方法とナフタレンジカルボン酸のジエステル及びポリエステルの日焼け止め組成物への使用については米国特許5,993,789及び6,284,916に公表されており、その公表内容については本文中に参照として組み込まれている。この実施例の組成物はR1及びR2が2-エチルヘキサンである化学式(II)のジエステルを含んでいて、pが0であることが望ましい。ここで公表されている組成物は、ナフタレンジカルボン酸のジエステルまたはポリエステルを、組成物の総重量の約0.1%〜約15%の範囲で含んでいることが望ましい。
0049
上に記載されているように、日焼け止め組成物中にある光活性化合物の安定性は組成物の油相の極性をコントロールすることにより増すことができる。なぜならこれまでの日焼け止めのフォーミュレーションは通常最適極性よりも低い極性であったが、油相に極性の高い構成成分を加え油相の極性を高めると光活性化合物の光安定性が改善される。このように日焼け止め組成物は、日焼け止め組成物中のジベンゾイルメタン誘導体またはその他の光活性化合物の光安定性を上昇させるために、ジベンゾイルメタン誘導体、(a)α-シアノ-β,β-ジフェニルアクリレート化合物、(b)ナフタレンジカルボン酸のジエステルまたはポリエステルで(a)/(b)の重量比が少なくとも0.95、望ましくは少なくとも約1.0のもの、及び溶媒系からなる油相を含んでいて� ��溶媒系は効果的な量の極性溶媒または高極性の溶媒のブレンドを含んでいることが望ましい。日焼け止め組成物に使用する適切な極性溶媒については、同一出願人による米国特許出願10/097,131及び10/092,132において公表されており、その公表内容についてはこの中に参照として組み込まれている。この実施例の組成物は少なくとも7、望ましくは少なくとも約8の誘電率があることが望ましい。
0050
本文中で公表されている日焼け止め組成物の別の実施例は、ジベンゾイルメタン誘導体、(a)α-シアノ-β,β-ジフェニルアクリレート化合物、(b)ナフタレンジカルボン酸のジエステルまたはポリエステルで、(a)/(b)の重量比が少なくとも0.95、望ましくは少なくとも約1.0のもの、及び(c)重量で約0.1〜10%、望ましくは重量で約0.5%未満のベンゾフェノン-3の混合物を含有している。この実施例によれば、あらゆるα-シアノ-β,β-ジフェニルアクリレート化合物が使用可能であるが、α-シアノ-β,β-ジフェニルアクリレート化合物は2-エチルヘキシル-2-シアノ-3,3-ジフェニルアクリレート(またオクトクリレンとも呼ばれている)であることが望ましい。
0051
本文中で公表されている日焼け止め組成物の別の実施例は、ジベンゾイルメタン誘導体、(a)α-シアノ-β,β-ジフェニルアクリレート化合物及び(b)ナフタレンジカルボン酸のジエステルまたはポリエステルを、(a)/(b)の重量比で少なくとも0.95、望ましくは少なくとも約1.0で含んでいる混合物であり、当該日焼け止め組成物の誘電率は少なくとも約8はある。
0052
下記の例は本発明を明らかにするために提供するものであって、本発明の範囲を限定するものではない。
0053
二種類の日焼け止め組成物は、下記の二例に示されている原料を混合及び濃縮(フォーミュレーション)することによって作られた。
(例 1)
生体内PFA 8.63
群 INCI/CTFA化学品名 商標名、供給業者 % w/w
A. オクチサレート (USP, RTD*HALLSTAR) 5.00
ホモサラート (NeoHeliopan HMS, Symrise) 7.50
アボベンゾン (Parsol 1789, Roche) 3.00
オクトクリレン (NeoHeliopan 303, Symrise) 2.50
ジエチルヘキシル 2,6-ナフタレート (Symrise) 2.50
ジメチルカプラミド (Spectrasolv DMDA, RTD*HALLSTAR) 1.00
リンゴ酸塩ジエチルヘキシル (Spectrasolv 16, RTD*HALLSTAR) 2.01
ベンゾフェノン-3 (NeoHeliopan BB, Symrise) 0.49
B. ジステアリン酸ポリグリセリル-3 (Cremorphor GS-32, BASF) 3.00
イソステアリン酸ソルビタン (Crill 6, Croda) 4.00
ステアリン酸 (V-1655, RTD*HALLSTAR) 3.05
PVP/エイコセンコポリマー (Ganex V-220, ISP) 2.00
ジメチコーン (100cSt) (Mirasil DM100, RTD*HALLSTAR) 0.40
シリカ (R972, Degussa) 0.25
C. 脱イオン水 水 Q.S.
二ナトリウム EDTA 二ナトリウム EDTA 0.05
カルボマー (Carbopol Ultrez 10, B.F. Goodrich) 0.05
D. メチルプロパンジオール (MPDiol、Lyondell) 2.00
グリセリン グリセリン 3.00
フェノキシエタノール()メチル- (CoSept PEP, RTD*HALLSTAR) 0.60
パラベン()エチルパラベン()プロピル-
パラベン()ブチルパラベン
トリエタノールアミン(TEA) トリエタノールアミン 1.74
(手順)
1. 油相: "A"液体添加剤を混ぜる。80℃まで加熱し、オキシベンゾン、アボベンゾンをかき混ぜて溶解する。添加剤"B"を透明で均一になるまでかき混ぜながら加える。注:ジメチコンを加えると油相が混濁する。シリカを加え充分に湿潤させ分散させる。
2. 水相:EDTA(エチルジアミン四酢酸)塩を水に溶かす。カルボマーを水の上に撒き、完全に湿潤させる。かき混ぜながら75℃になるまで加熱する。防腐剤、メチルプロパンジオール、グリセリン、TEAを前もってブレンドしてから水に加える。
3. かき混ぜながらオイル("A"+"B")を水("C"+"D")に加える。未精製の黄色味がかったエマルジョンが形成される。熱から下ろす。温度が75℃以下になるまでかき混ぜ続ける。白色の純度の高いエマルジョンが形成されるまで3分間均質化する。滑らかな動きに切り替える。冷やしている間かき混ぜる。温度が35℃以下になった時点で包装する。
4. 加工中に失われた水を加え戻すことを忘れないように。
0054
以下の生体内PFAの数値は、日本持続型即時黒化プロトコル(Japanese Pigment Darkening Protocol)(添付資料)に基づいて例1の組成物を5人に使用し、得たものである
(表2)
個々のPFA値
180分 被験者 CPTC♯ 肌質 年齢/性別 標準 CAB4-269
1) JA 38973 IV 54/M 5.86 9.38
2) BB 38974 III 54/F 4.68 7.50
3) RA 388912 III 26/M 5.86 9.38
4) TF 40813 III 19/M 4.69 7.50
5) NF 12775 III 56/M 4.69 9.38
平均PFA(N=5) 5.16 8.63
(例 2)
0055
下記の組成物が作られ、上記の例1に関して記載されているものと同じ方法で光安定性テストを行った。重量で0.2%のジエチルヘキシルリンゴ酸塩を対照に加えたのはテストを行った全てのフォーミュレーションにおいて同一の油相量を維持するためである。この日焼け止め組成物は、DEHN(ナフタレンジカルボン酸のジエステルまたはポリエステル)に対し、0.06及び0.026という非常に率の低いオクトクリレン(OC)を含んでいた。
(手順)
1. 油相:補助容器で"A"の液体添加剤をブレンドする。80℃まで加熱し、オキシベンゾン、アボベンゾンを溶融させるためにかき混ぜる。温度を90℃に上げる。"B"添加剤を加え透明で均一になるまでかき混ぜる。
2. 水相:小さな容器に予めカルボマー("E")を水中に分散させておく(カルボマー1に対し水15〜20で15〜20分間置いておく)。主容器に水を入れる(前もってカルボマーを分散させるのに使用した水よりも少ない量)。二ナトリウムEDTAを水に溶かす。85℃まで加熱する。前もってブレンドしておいた防腐剤、グリセリンを水に加える。かき混ぜて分散させる。
3. 均質化させながら、オイル("A"+"B")を水("C"+"D")に加える。引き続き均質化させながら前もって分散させておいたカルボマー("E")を加える。温度を80〜90℃に保ち2分間均質化させる。
4. 火から降ろす。冷やしている間ゆっくりと滑らかにかき混ぜる。温度が40℃以下になった時、ゆっくりと水酸化ナトリウム("F")溶液でpH6〜6.5に中和させる。なめらかで均質化したローションになるように攪拌を続ける。注意:加工中に失われた水を加え戻すことを忘れないように。
別表 3: 日本化粧品工業連合会(JCIA) / 持続型即時黒化プロトコル
(PRESIDENT PIGMENT DARKENING PROTOCOL)
日本化粧品工業連合会
UVA防止効果の測定基準
序文
紫外線がヒトの皮膚に及ぼす悪影響は消費者に広く知られるようになってきており、環境汚染によって紫外線レベルが増大していることを警告するレポートがメディアにおいてなされている。これにより多くの"紫外線防止化粧品"が市場に出現することとなった。これらの製品は紫外線の影響を軽減したり遮断したりすることにより皮膚を守ってくれる。
紫外線から保護をする化粧品はざっと二つのタイプに分けられる。一つは"サンタン化粧品"であり、これは皮膚に対する紫外線の影響を最小限に制限することにより肌を美しく日焼けさせる目的で使用されるものである。もう一つは"サンスクリーン化粧品"であり、日焼けによる炎症や日焼けを防ぐためのものである。
地球表面に届く紫外線はA範囲紫外線(UVA:320〜400nm)とB範囲紫外線(UVB:280〜320nm)に分けられ、これらの2タイプは皮膚に異なった影響を与える。UVBは、暴露から数時間後に皮膚に紅斑を引き起こし、UVBの暴露から数日後には皮膚に色がつき、乾燥したり皮がウロコ状になったりすることがある。UVAは暴露後直ちに肌を黒くし(即効的肌の黒ずみ)、UVAを多量に浴びた場合にはこの黒ずみは後発的肌の黒ずみへと移行する。またUVAはUVBに対する肌の敏感さを増すという報告もある。これらの急性反応に付け加えて、紫外線は皮膚ガンの一因ともなり、シミやシワに代表される肌の老化の一因ともなる。これらの様々な反応に対するUVBとUVAの相対的寄与率については判っていないが、しかしUVAの皮膚深部への浸透の影響については無視できない。
こういった状況下で、"紫外線防止"(製品に対する要求)が常に要求を満たしているとは限らないため、製品がUVAを防止するのかまたはUVBを防止するのか、又それぞれに対してどの程度防止できるのかを明らかにする必要がある。
SPF(日焼け防止指数)はUV防止化粧品による日焼け防止効果の指数である。5FF値は、日本における日本化粧品工業連合会のSPF測定基準(1992年1月から実施)、ヨーロッパにおけるCOLIPA規定(1994年10月)、米国におけるFDA規定(暫定最終一般薬基準承認制度、1993年5月)に従って決められている。世界均一の方法は採用されてはいないが、これらの測定法はほとんど同じなので、それらのSIT値は大体比較できる。世界中で、SOF値は消費者が製品を選ぶのに使用する指数として役割を果たしている。
しかしながら、UVA防止の指数または測定方法に関しては、均一の測定方法というのは、それについての何種類かの論文が発行されたり、様々な国で研究が進んだりしてはいるが、国家或いは業界全体レベルのものはまだ確立されていない。UVA防止用に様々な数値等の表示がされている製品が世界中にあるが、日本においては均一の測定方法が確立されておらず、それらの数値が消費者が製品を選ぶ際に混乱をおこさせる懸念が特にあるので、あるタイプの指数については化粧品のUVA防止レベルのリストに採用しないことが決定された。
そのため、UVA防止の測定方法を確立する目的で、日本化粧品工業連合会の技術委員会は、1992年11月に従来のSPF特別作業チームを再編成し、紫外線特別作業チームを設置した。この作業チームは財団法人ヒューマンサイエンス振興財団による承認及び後援の下にUV防止についての基本リサーチプロジェクトを取り扱い、その結果を編集している。
基準に対する基本理念が下記に示されている。
(1) この基準はWA値の均一測定方法(WAの防止指数)を定め、消費者が自分達の望む紫外線防止効果を満たす製品を選ぶことができるように、サンスクリーン及びサンタン化粧品のUVA防止等級のラベルを貼る方法を定めることを目的としている。
(2) この基準は1996年1月1日から実施される。
(3) この基準は新しい技術的発見による証明があった場合には見直される。
この基準は、項目別測定条件のリストである"I. UVA防止効果の測定法"と、この方法を用いてテストを行うための実際的なポイントを提供する"U. 注記"から成る。
I. PFA測定方法
1. テストの被験者とテスト箇所の選択(注記 I)
(1) 被験者は健康で18歳以上の男性及び女性で、肌のタイプが下記に記載するII、III、またはIVに属する者であること。
被験者は各自の健康状態について質問を受けなければならず、もし光線皮膚炎であったり、光過敏性に関係のある薬(抗過敏性炎症剤、高血圧剤等)を服用したりしている場合は除外される。
肌のタイプ: I. 常にすぐ赤くなり、決して褐色にはならない。
II. 常にすぐ赤くなり、あまり褐色にはならない。
III. ほどほどに赤くなり、徐々に褐色になる。
IV. あまり赤くならず、常にきれいな褐色になる。
V. めったに赤くならず、激しく褐色になる。
VI. 決して赤くならず、濃い褐色になる。
肌のタイプは太陽露出のない冬の季節の後、30〜45分間太陽の光を浴びた時の標準的な肌の反応に基づいて分類されている。
(2) テスト箇所は背中とし、背中は色素沈着、母斑などがなく、色が均一であること。
2. 被験者数 (注記 2)
各テストは10人以上の被験者で行い、PFA測定の標準誤差はPFA値の10%を超えないこと。
3. 標準サンプル (注記 3)
標準サンプルは下記記載の調法により準備されること。標準サンプルの測定はテストサンプルの測定と同時に行われること。標準サンプル(5%の4-tert-ブチル-4"-メトキシジベンゾイルメタン及び3%の2-エチルヘキシル p-メトキシケイ皮酸を含むクリーム)の調法と準備の方法。 重量%
A1 純水(JSCI) 57.13
A2 ジプロピレングリコール(JSCI) 5.00
A3 水酸化カリウム(JSCI) 0.12
A4 エデト酸三ナトリウム(JSCI) 0.05
A5 フェノキシエタノール(JSCI) 0.3
B1 ステアリン酸(JSCI) 3.0
B2 モノステアリン酸塩グリセリン、自己乳化性(JSCI) 3.0
B3 カトステアリル(catostearyl)アルコール(JSCI) 5.0
B4 ワセリン(JSCI) 3.0
B5 グリセリルTri-Z-エチルヘキサン酸 15.0
B6 2-エチルヘキシル p-ケイ皮酸メトキシ(JSCI) 3.0
B7 4-tert-ブチル-4'-メトキシジベンゾイルメタン(JSCI) 5.0
B8 エチル安息香酸パラヒドロキシ(JSCI) 0.2
B9 メチル安息香酸パラヒドロキシ(JSCI) 0.2
JSCL=Japanese Standards of Cosmetic Ingredients (日本化粧品原料基準)
Aの各原料の検量を行い、それらを純水中に溶融させ溶液の温度を70℃まで上げる。Bの各原料の検量を行い、それらが完全に溶融するように温度を70℃まで上げる。BをAに加え混合液を乳化させ、ホモゲナイザー等で乳化分子のサイズを調整する。エマルジョンを冷却して標準サンプルを得る。
4. 塗布するサンプルの量 (注記 4)
塗布するサンプルの量はそれぞれ2mg/cm2 または2ul/cm2
5. サンプルを塗布する面積 (注記 5)
面積(サンプル塗布)は少なくとも20cm2
6. 塗布してから暴露までの時間
サンプル塗布後少なくとも15分後には照射を始める。
7. 光源 (注記 6)
光源として、下記の条件を満たす人工光を使用すること。
(1) 紫外線照射にはUVA領域で太陽光と類似した連続スペクトルがあること。さらにUVA I (340〜400 nm)とUVA II(320〜340 nm)の比率も太陽光(UVA II/UVA-8-20%)に近いものであること。
(2) 極端な日焼けを避けるために、320 nmよりも短い紫外線は適切なフィルターを通して取り除く。上記の条件が常に維持されていることを確かめるため、モニタリングとメンテナンスを行う。
8. 照射野 (注記 7)
一つの照射野は少なくとも0.5 cm2。非処理の照射野も処理エリアの照射野と同じとする。
9. 照射線量の拡大 (注記 8)
照射線量は幾何級数的に増加するが、増加量は最大で25%とする。
10. MPPD(Minimal Persistent Pigment Darkening Dose)(最少持続型即時黒化量)
MPPDは暴露後2〜4時間以内に基本的に全照射野全体に少しの色素沈着を生じる紫外線の最少照射量である。MPPDの決定は充分な光のある部屋で、暴露後2〜4時間以内の決めた時間に行う。二人以上の訓練された評価者によるMPPDの読み取りが要求される。
11. PFA値の計算方法 (注記 10)
PFA値は、テストサンプルで処理していない箇所と処理した箇所でMPPDを使用して下記の式から求める。
PFA値=防御した皮膚のMPPD/防御していない皮膚のMPPD
テストサンプルのPFA値は上記の式から得られる各被験者のPFA値の相加平均として決定される。
12. UVAの防止を表す方法 (注記 11)
UV防止製品にラベルを貼ることについては、上記の方法で計算したサンプルのPFA値から小数点以下を切り捨てて整数にする。そうして数値が2以上である場合、それを下記のPA(Protection grade of UVA=UVA防止等級)にしたがって分類し、その分類をラベル表面に表示する。PAはSPF値と一緒に示す。
PFA値 PA(UVA防止等級)
2以上4未満 PA+
4以上8未満 PA++
8以上 PA+++
II. 注 記
(注記 1) 被験者の選択とテスト箇所
UVAにより引き起こされる持続型即時黒化指数となるPFA値の測定に関しては、紫外線への暴露から安定した黒色化が生じることを前提としなければならない。もし肌の色が黒ければ、この反応を判定することは非常に難しい。さらに図1に示されているように、肌タイプII、III、IVから得られたPFA値の間には大きな差異は見られなかった。それゆえ、肌タイプII、III、IVであることが要求されるのである。日本化粧品工業連合会により行われた日本人の肌タイプの調査の結果は、日本人の約74%が肌タイプII、III、IVに属していることを示している。
被験者は"被験者選択の質問表"の面接の質問により、このテストの目的を理解している申請者の中から選ばれる。光過敏性の一因となる薬の例としては次のようなものがある。
血圧降下剤、向精神薬、トランキライザー、抗ヒスタミン剤、経口血糖降下薬、テトラサイクリン抗生物質
被験者は自分達自身の肌のタイプを査定し、被験者になることに同意する必要があるので、被験者の最低年齢は10歳以上と規定された。また被験者は60歳以上ではないことが薦められる。
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