参考文献:望月久.高齢者の転倒予防のためのスクリーニングテスト.理学療法.27巻5号.2010年5月
<まとめ>
①転倒予防を効率よく実施するためには、転倒の危険性のある対象者をスクリーニングテストで選別し、個別的に対策を立てる必要がある。
②転倒には多くの因子がかかわっており、内的因子と外的因子に分けられる。スクリーニングテストでは内的因子による転倒の危険性について評価する。
③スクリーニングテストには、転倒の危険性についての高い判別性と測定の簡便性が求められる。
④転倒の内的危険因子は多岐にわたり高い精度で転倒を予測することは困難であるが、いくつかの因子の測定を組み合わせることでスクリーニングテストの予測精度を高める試みがなされている。
転倒予防でのステップ
①転倒の危険性のある対象者を選別する
↓
②転倒の危険性のある対象者により詳細な評価を行い、個別的な転倒危険因子を探る。
↓
③個別的な転倒危険因子を中心に転倒予防の介入を実施する。
↓
④介入による結果を評価し、より有効な転倒予防対策やシステムを構築する。
スクリーニングテストには、
テストの判別性が高いこと
判断基準が明確であること
テストが簡便に実施できること
短時間で測定できること
安全性が高く対象者への負担が少ない
という5項目が要求される。
この転倒予防とスクリーニングテストから
先行研究で紹介されている内容を以下に示します。
ミハル·サーマンの減量プログラム
転倒の危険因子
転倒の危険因子には対象者自身の特性である内的因子と外的因子がある。
以下に具体的な内容を示す。
この転倒の危険因子のなかで、1つでも問題があれば転倒の危険性が生じ危険因子がふえれば転倒の危険性がより高まる。
高齢者では、上記の危険因子に加え加齢による影響がみられるため、
個々の患者でバランス能力を測定し、危険性を破断する必要がある。
以下に詳細を紹介する
スクリーニングテストの方法について
対象者自身の転倒の危険性を判別するためのテストであり、転倒の"内的因子"を反映する1つまた
は複数のテスト項目から構成されている。
テストの結果から、転倒の危険性のある対象者をどの程度選別できるか問われる。
転倒の危険性の高い群と低い群を分けるテスト結果の値を転倒のカットオフ値という。カットオフ値は受信者動作特性曲線(ROC曲線)より決定される。
以下に指標が紹介されている。
疼痛管理の医師に
感度、特異度は70~80%以上が望ましい。
陽性尤度比は値が高いほどテストの性能がよく、陽性尤度比5~10以上が望ましいとされる。
Youden指数は-1から1の値をとり1に近いほど判別性が良く、カットオフ値の決定に利用される。ROC曲線下面積は0.5~1の値をとり、0.7~0.9以上が望ましい値とされる。
スクリーニングテストの形式
①質問紙を使用する
②対象者のパフォーマンスレベルを測定する
という2つの方法がある。
※理学療法では後者のパフォーマンステストによる転倒予測が重要である。
実際のスクリーニングテスト
① STRTIFY
入院患者の転倒危険性を判断するテストとして使用される。
5項目の質問中、2項目で転倒リスクが高まる。
2項目以上をカットオフ値とすると、感度93% 特異度88%との報告もある。
② Fall Risk Assessment Tool
入院患者の転倒危険性の評価に使用される。
5項目あり満点は6点。合計3点以上で転倒危険性が高い。
検者内信頼性は83~99%
3点をカットオフ値とすると、感度93% 特異度78%との報告もある。
③ Berg Balance Scale
14 項目からなり、満点は56点
転倒予測のカットオフ値は45点とすることが多いが、報告により40~50点の幅がある感度25~91% 特異度78~96%との報告もある。
ウィチタフォールズのホテルLa Casa歯科
④ Elderly Fall Screening Test
5項目からなる2項目以上該当すると転倒の危険性が高い。
測定に17分程度をようする。
感度83~93% 特異度69~78%との報告もある。
⑤ Dynamic Gait Index
歩行可能な高齢者を対象にするテスト
8項目あり満点は24点
カットオフ値は19点、感度85% 特異度38%との報告もある。
⑥ Timed Up & Go
測定は1分以上で実施できることが多い。
カットオフ値は10~16秒、感度54~87% 特異度74~89%との報告もある。
⑦ Performance-Oriented Mobility Assessment
バランステスト(9項目)と歩行テスト(7項目)がある。
バランステストは16点満点、歩行テスト12点満点 合計28点満点である。
測定は10~15分かかる
カットオフ値は18点とした(Tinettiら)が、
Perellらはカットオフ値10点で感度84% 特異度74%との報告もある
⑧ Functional Reach
バランス能力の評価法として開発される。
転倒のカットオフ値は15cmとされる。
カットオフ値15cmでは感度76% 特異度34%との報告もある
カットオフ値20cmでは感度73% 特異度88%との報告もある
※スクリーニングテストとしては判別性が低いともいわれる。
⑨ その他
上記以外の評価方法として、
・5ステップテスト
21秒のカットオフ値に対して感度82%、特異度82%
・継ぎ足位でも立位保持
感度82%、特異度82%
・Clinical Test of Sensory Interaction in Balance (CTSIB)
30秒を上限としていろいろな表面上で立位をとる。
・5回連続の椅子からの立ち上がり
・5分間歩行
1000フィートをカットオフ値として、感度82%、特異度79%
といろいろと研究報告があります。
<おわりに>
いろいろあ研究報告がありましたが、
やはり、PTにとってパフォーマンスから転倒を予測するのが一般的なようです。
つまり、転倒を予想するためには転倒するような動作を実際にやってもらうほうが予測しやすいということに
なります。
座位とかで転倒予測できるといいんですが、方法は書いてなかったです…
もし知っている方いたら教えていただきたいなと思います。
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